コーチング体験談ファイル

自身の経験やスキルを、指導や教育という形で活かしたいと願いながら、具体的な一歩が踏み出せずにいた私が、活動への確信を得たコーチング体験談

Tags: キャリア形成, セカンドキャリア, 経験の棚卸し, 自己理解, 目的発見

経験をどう活かすか、漠然とした迷い

私はこれまで、特定の専門分野で長年にわたり経験を積み重ねてまいりました。組織内ではそれなりの立場におり、培ってきた知識やスキルに対する一定の自負もございました。しかし、ある程度の年齢を迎え、自身の現役キャリアの終盤や、その後の人生について考える時間が増えるにつれ、漠然とした不安や迷いを感じるようになったのです。

特に強く感じていたのは、「このまま自分の中に蓄積された経験や知識を、埋もれさせてしまうのはあまりにももったいない」という思いでした。自身の専門性を、何らかの形で社会に還元したい、特に後進の指導や、広く知識を伝える活動を通じて貢献したいという願望が内側から湧き上がってきました。

ところが、具体的に何から始めれば良いのかが分かりませんでした。自身の経験がどのように他者の役に立つのか、どのような形で提供すれば受け入れられるのか、あるいはそもそも自分にそのようなことができるのか。考えれば考えるほど、具体的なイメージが掴めず、一歩を踏み出す勇気が持てずにいたのです。自身の持つ可能性に対する期待と、それを実現するための具体的な道筋が見えないことへの焦りが入り混じり、内面に閉塞感を抱えておりました。

コーチングとの出会いと期待

このような状況下で、私はコーチングという手法を知りました。知人の紹介で、自身の内面と向き合い、課題を整理し、行動へと繋げるための有効な手段であると聞き、関心を抱きました。これまでの人生で、自身の内面についてこのように深く体系的に向き合った経験はありませんでしたので、少々戸惑いもありましたが、「この迷いを解消し、前に進むための突破口になるかもしれない」という期待を抱き、コーチングを受けてみることを決断いたしました。

コーチングに期待していたのは、まず自身の経験やスキルの客観的な棚卸しです。何が自分の強みであり、どのような知識や経験が他者の役に立つのかを明確にしたいと考えておりました。そして、それを踏まえ、具体的にどのような形で社会に還元できるのか、その活動の方向性を見つけたいという期待がございました。漠然とした思いを具体的な行動計画へと落とし込むためのサポートを得られることを願っておりました。

セッションを通じた内なる探求

セッションは、私の内面に深く寄り添い、安心できる雰囲気の中で進められました。コーチは私の話を丁寧に、そしてじっくりと聴いてくださいました。その中で、私が特に印象に残っているのは、自身では当たり前だと思っていた経験や知識に対して、「それは具体的にどのような状況で、どのように活かされたのですか?」とか、「その経験を通じて、あなたは具体的にどのような能力や視点を培ったと考えられますか?」といった、私の経験を細分化し、その本質的な価値を問うような問いかけでした。

また、「あなたが最もやりがいを感じたのは、どのような時に、どのような形で他者に貢献できた時ですか?」とか、「もし時間や資源に制約がなかったら、どのような形でご自身の経験を社会に還元したいですか?」といった、自身の内的な動機や願望を掘り下げる問いかけも、私にとって大きな気づきとなりました。

これらの問いかけに答える中で、私は自身の長年の経験が、単なる技術や知識の積み重ねではなく、困難を乗り越える力、複雑な状況を整理する思考力、他者との信頼関係を築くコミュニケーション力など、汎用性の高いスキルに裏打ちされていることに気づかされました。また、成功体験だけでなく、多くの失敗や挫折から学んだことの中にも、他者にとって価値ある示唆が含まれていることにも気づきを得ました。

セッションが進むにつれて、当初抱えていた漠然とした不安は薄れ、自身の経験に対する肯定的な見方や、それを活かせる可能性に対する希望が膨らんでいきました。自身の内側から湧き上がる「教えたい」「伝えたい」という思いが、単なる自己満足ではなく、自身のこれまでの人生で培ったものを、未来への貢献へと繋げたいという、より大きな目的意識に基づいていることにも気づくことができました。

明確になった道筋と行動への一歩

コーチングを通じて得られた最大の成果は、自身の経験・知識の価値を再認識し、自信を取り戻せたことです。そして、それらをどのように活かしていくかについて、具体的な活動の方向性が見えてきたことです。

セッションの中で、自身の経験をどのように構造化し、どのような対象者に、どのようなメッセージで伝えるかといった点が整理されました。例えば、漠然と「指導や教育」と考えていたものが、「自身の専門分野における若手エンジニア向けのメンタリング」や、「特定のテーマに絞った経験談の発信(ブログや小規模な勉強会)」といった、より具体的なイメージへと落とし込まれていきました。

そして、単に方向性が見えただけでなく、そこへ向かうための最初の一歩として何から始めるべきか、具体的な行動計画を立てることができました。例えば、「まずは自身の経験を特定のテーマに絞って書き出してみる」「興味のある分野の勉強会に参加してみる」といった、小さなステップから始めることで、心理的なハードルを下げ、行動への後押しとなりました。

未来への展望とメッセージ

コーチングを受けたことで、私の内面には大きな変化が生まれました。これまで漠然とした不安や迷いにエネルギーを費やしていた状態から、自身の可能性に対する希望と、具体的な活動への確信を持って未来を見据えられるようになったのです。積極的に自身の経験や考えを発信するようになり、そこから新しい人との繋がりが生まれ、新たな学びの機会にも恵まれています。これは、コーチングがなければ得られなかった変化だと強く感じております。人生の後半においても、自身の経験を活かして社会と関わり続けられるという展望は、私に大きな活力を与えてくれています。

これからコーチングを受けてみようかと考えている方へ、私の体験を踏まえてお伝えしたいことがあります。特に、もしあなたが自身の経験や知識をどのように活かすべきか迷っていたり、自身の可能性に対して漠然とした不安を抱えていたりするのであれば、コーチングは非常に有効な手段となり得ると感じます。自身の内面にある思いや経験を、コーチとの対話を通じて深く掘り下げ、客観的に整理することで、これまで気づかなかった自身の価値や、進むべき道が見えてくる可能性があります。一歩踏み出すことには勇気が必要かもしれませんが、自身の内側にある「こうありたい」という願望と真摯に向き合う時間は、きっとあなたの未来をより豊かなものにしてくれるでしょう。迷いの中にいるならば、ぜひ一度コーチングを体験してみることをお勧めいたします。