既存の知識に埋もれ、自身の独自の視点を見失いかけていた私が、内なる「問い」を研ぎ澄まし、創造的な探求を再開したコーチング体験談
コーチングを受ける前の状況と悩み
私は長年、特定の専門分野で研究職としてキャリアを積んでまいりました。常に最新の情報を収集し、既存の知見を深く理解することが求められる環境におりました。しかし、インターネットや各種メディアから日々流れ込んでくる膨大な情報と、積み重ねてきた専門知識の重みに、次第に圧倒されるようになっていました。
研究テーマを探求する際も、新しい論文や先行研究に目を通せば通すほど、「もう誰かが同じようなことを考えているのではないか」「自分のアイデアに新規性はあるのだろうか」といった疑問や不安が募り、自分の内側から湧き出る素朴な興味や疑問が、既存の知識の「型」の中に埋もれていくのを感じていました。自身の独自の視点や、心から探求したい「問い」が何なのかが、曖昧になっていったのです。
思考は拡散的になり、何から手をつけて良いか分からず、創造的なアウトプットへの一歩が踏み出せない状態が続いていました。論文執筆や新しいプロジェクトの構想も、表層的な情報の組み合わせに留まっているように感じられ、自身の専門家としての存在意義や、社会への貢献の方向性についても、漠然とした閉塞感を抱えていました。
コーチングを受けるきっかけと期待
このような状況を打破したいという思いが募る中で、知人からコーチングという手法について聞く機会がありました。最初は半信半疑でしたが、自分自身の内面と向き合い、思考を整理し、行動を促すサポートであると知り、私の抱える「情報の洪水の中で自分を見失いかけている」という状況に有効かもしれないと感じました。
特に、外部からの知識や情報は豊富にあるものの、それらを自分の中で咀嚼し、独自の視点として確立すること、そして内なる「問い」を明確にすることに困難を感じていた私にとって、「答えはクライアントの中にある」というコーチングの考え方は、外に答えを探すのではなく、内側に目を向ける必要性を教えてくれるように思えました。
コーチングを受けることで、情報に溺れるのではなく、自分自身の「核」となる探求テーマや問いを明確にし、再び情熱を持って創造的な活動に取り組めるようになるのではないか、と期待していました。また、漠然とした不安や閉塞感を整理し、次に進むための具体的な糸口を見つけたいとも考えていました。
コーチングのプロセスと具体的な様子
セッションが始まると、コーチはまず私の話を丁寧に聴いてくださいました。私自身、抱えている悩みや状況を言葉にするのが難しく、抽象的な表現が多くなったのですが、コーチは根気強く耳を傾け、私の言葉の端々から本質を捉えようとしてくださる姿勢が印象的でした。
特に記憶に残っているのは、コーチからのシンプルでありながら力強い問いかけです。例えば、「もし、今までにあなたが学んできた知識や、世の中に存在する全ての情報が一旦リセットされるとしたら、あなたはまず何を知りたいと思いますか」という問いは、私の思考の回路を大きく変えるものでした。普段は既存の枠組みの中で考えてしまいがちなのですが、この問いによって、純粋な知的好奇心や、自分自身の根源的な興味に目を向けざるを得なくなりました。
また、「あなたが探求したいテーマについて、最も心惹かれる『なぜ』は何ですか」という問いや、「その問いは、あなたの人生においてどのような意味を持つのでしょうか」といった問いかけを通じて、表層的な関心事ではなく、自分自身の深い価値観や、探求活動の根底にある動機について考える機会を得ました。
セッションを重ねるにつれて、最初は曖昧だった私の内なる「問い」が、少しずつ言葉になっていくのを感じました。コーチは私が発した断片的な言葉や感情を丁寧に拾い上げ、「それは〇〇ということでしょうか」「その時に感じたことはどのようなものでしたか」と、私の内面を掘り下げるサポートをしてくださいました。
セッション中は、頭の中が整理されていくような感覚と同時に、これまで目を背けていた自身の内なる声と向き合うことによる、ある種の感情的な揺れ動きもありました。しかし、コーチの穏やかで受け容れてくれる雰囲気の中で、安心して自分自身を探求することができました。
得られた成果と変化
コーチングを通じて、最も大きな成果は、自分自身の核となる「問い」を明確にすることができた点です。情報や既存の知識に埋もれていた、自分固有の探求テーマが鮮明になったのです。それは、これまで意識していなかった、あるいは無意識のうちに蓋をしていた、自分自身の価値観や経験に深く根差したものでした。
「問い」が明確になったことで、情報との向き合い方も変わりました。以前は情報を「摂取する」一方だったのが、今では「自分にとって必要な情報を選び取る」「自分の問いにどう関連するか」という視点を持つことができるようになりました。情報の海に溺れるのではなく、自分自身の羅針盤を持って進めるようになった感覚です。
思考も整理され、拡散的だった思考が、自身の「問い」を中心に収束していくようになりました。アイデアを考える際も、既存の知識をなぞるのではなく、自分の核となる問いから発想する癖がつきました。これにより、自分ならではの視点や、創造的なアイデアが生まれやすくなったと感じています。
具体的な行動の変化としては、リサーチの効率が格段に上がり、迷いが減りました。また、自身の「問い」に基づいた独自の視点を、同僚との議論で臆せず発言できるようになりました。そして何より、新しい企画や論文の構想に、以前のような停滞感がなくなり、内側から湧き出る熱意を持って取り組めるようになりました。創造的なアウトプットへの具体的な一歩を踏み出す勇気と、その道筋が見えたのです。
コーチング体験後の影響
コーチングを受けた経験は、仕事だけでなく、人生全体に良い影響を与えています。自分自身の核となる「問い」を持つことは、知的な活動における指針となるだけでなく、日常生活における様々な選択や判断の際にも、自分にとって何が重要なのかを考える上での軸となっています。
情報過多な現代社会において、自分自身の内なる声に耳を傾け、自身の探求の軸を持つことの重要性を改めて認識しました。これにより、外部からの様々な影響を受け流し、自分にとって本当に価値のあることにエネルギーを集中できるようになりました。
創造的な活動への情熱も再燃し、以前にも増して仕事にやりがいを感じています。自身の専門性を活かしつつ、自分らしい形で社会に貢献できるという確信も得ることができました。
これからコーチングを受ける人へのメッセージ
もしあなたが、情報や外部の期待に圧倒され、自分自身の本当の望みや、心から探求したいものが見えなくなっていると感じているのであれば、コーチングは非常に有効な手段となり得ます。特に、知的な活動において、自身の独自の視点や内なる「問い」を明確にしたいと考えている方には、心からお勧めいたします。
コーチングは、答えを教えてくれるものではありません。しかし、優れたコーチは、あなたが自分自身の中に持っている答えを引き出すための、強力な「問い」を投げかけてくれます。そして、その問いと向き合うプロセスを通じて、あなたはきっと、自分自身の内なる声に気づき、本当に大切にしたいこと、探求したいことを見出すことができるでしょう。
内面と深く向き合うことは、時に勇気がいる作業かもしれません。しかし、信頼できるコーチの伴走があれば、安心してその探求を進めることができます。迷いや停滞を感じている今こそ、自分自身への投資として、コーチングを検討してみてはいかがでしょうか。きっと、新しい扉が開かれるはずです。