コーチング体験談ファイル

部署内の人間関係の課題を乗り越え、組織を動かす力を得たコーチング体験談

Tags: リーダーシップ, マネジメント, チームビルディング, コミュニケーション, 自己成長

コーチングを受ける前の状況と悩み

私がコーチングを受け始めたのは、部署を任されてから二年が経過した頃でした。業務自体は順調に進んでいるように見えていましたが、どうにもチームに一体感がなく、部下たちからの積極的な提案や自発的な行動が少ないことに悩んでいました。会議で意見を求めても沈黙が多く、指示は出すものの、その意図や背景が十分に伝わっていないと感じることが度々ありました。結果として、私が多くの業務を抱え込み、チームとしてのパフォーマンスも頭打ちになっている状況でした。

部下との個別の対話も試みましたが、表面的な会話に終始することが多く、本音を聞き出せている実感はありませんでした。彼らが何を考え、何に困っているのかが分からず、どう接すれば良いのかが分からなくなっていました。自分のコミュニケーション能力やリーダーシップに根本的な問題があるのではないかという不安を常に抱えており、組織の中で孤立しているような感覚に陥っていました。

コーチングを受けるきっかけ

このような状況を打開するために、自己啓発書を読んだり、マネジメント研修に参加したりしましたが、一時的な知識やテクニックに留まり、根本的な改善には繋がりませんでした。理論は理解できても、それを実際の人間関係の中でどのように応用すれば良いのか、自分自身の行動をどう変えれば良いのかが具体的に分からなかったのです。

そんな折、以前からコーチングを受けて自身の課題を克服したという知人から話を聞く機会がありました。客観的な第三者との対話を通じて、自分では気づけない内面にある問題や行動パターンに光を当てるアプローチがあることを知り、強い興味を持ちました。独力での限界を感じていた私は、専門家であるコーチの力を借りて、自身のリーダーシップやコミュニケーションの課題に深く向き合ってみようと決意しました。

コーチングへの期待

コーチングを受けるにあたり、私が期待していたのは大きく二つありました。一つ目は、部下との関係性を改善し、チームとしての活力を取り戻す具体的な方法を見つけることです。そして二つ目は、自分自身のリーダーシップに対する自信を取り戻し、主体的にチームを率いていけるようになることです。

具体的には、会議で部下たちが積極的に発言するようになること、私の指示に対して疑問や意見があれば臆せず伝えてくれるようになること、そして、私自身が部下に対して一方的ではなく、信頼関係に基づいた対話ができるようになることを望んでいました。テクニックだけでなく、自分自身の内面から変化を起こし、長期的な視点でチームを成長させられる自分になりたいと考えていました。

コーチングのプロセスと具体的な様子

初めてのセッションは、私の現在の状況や抱えている悩み、そしてコーチングを通じてどうなりたいかといったことから始まりました。コーチは私の話を丁寧に、批判することなく聞いてくれました。その落ち着いた雰囲気の中で話しているうちに、自分がいかに部下たちの反応を恐れ、彼らの期待に応えようとしすぎていたか、そしてそれがかえって彼らを遠ざけていたのではないかという漠然とした感覚が芽生えました。

印象に残っている問いかけがいくつかあります。例えば、「〇〇さん(私の名前)が考える『理想のチーム』とは、具体的にどのような状態でしょうか。そこにいる人々は、お互いにどのように関わり合っていると思いますか」という問いでした。漠然と「成果を出すチーム」と考えていましたが、コーチの問いによって、私が本当に求めているのは「心理的に安全で、互いに尊重し合い、率直に意見を言い合える関係性」であることに気づきました。

また、「部下の方々は、あなたのどのような言動に一番価値を感じていると思いますか。逆に、どのような言動が彼らのブレーキになっている可能性があるでしょうか」という問いは、私の視点を大きく変えました。それまで私は、自分自身の欠点ばかりに目がいっていましたが、コーチの問いを通じて、部下たちが私のどのような側面を評価しているのか、そして私の無意識の言動がどのように影響を与えているのかを考える機会を得ました。

セッションは一方的にアドバイスを受ける形式ではなく、私の内面にある考えや感情をコーチが引き出し、それを私自身が言語化していくプロセスでした。問いかけに対し、すぐに答えが出ないこともありましたが、コーチは辛抱強く待ってくれ、私の言葉に耳を傾けてくれました。セッションを重ねるごとに、自分自身のコミュニケーションパターンや、過去の経験に基づいた固定観念に気づくことができ、それらを客観的に見つめ直すことができるようになりました。この「気づき」こそが、私にとって最も価値のある体験でした。

得られた成果と変化

コーチングを通じて得られた最大の成果は、自分自身の内面的な変化、そしてそれに伴う具体的な行動の変化でした。以前は部下との対話が億劫に感じていましたが、コーチングで自分自身の価値観や理想とする関係性が明確になったことで、彼らと向き合うことへの抵抗感が薄れました。

セッションで学んだ「傾聴」と「質問」のスキルを意識的に使うようになりました。部下の話を最後まで遮らずに聞き、彼らの意見や考えを引き出すような問いかけを心がけました。初めはぎこちなかったものの、継続することで部下たちの反応に変化が見られるようになりました。以前は黙っていた部下が、自分の意見を口にするようになり、別の部下は業務上の課題について相談を持ちかけてくれるようになりました。

また、私自身が完璧である必要はない、ということを受け入れられるようになりました。自分の弱みや課題をオープンに話すことで、部下たちが安心して自己開示してくれるようになるというポジティブな循環が生まれました。チーム内のコミュニケーションが円滑になり、心理的な距離が縮まったことで、一人ひとりが主体的に考え、行動する雰囲気が醸成されました。その結果、チーム全体のパフォーマンスが向上し、私自身も孤独感から解放され、自信を持ってリーダーシップを発揮できるようになりました。

コーチング体験後の影響

コーチングを受けた経験は、仕事だけでなく、私の人生全般に良い影響を与えています。仕事においては、部署内の関係性が劇的に改善されただけでなく、他部署との連携もスムーズになりました。以前よりも広い視野で物事を捉え、組織全体に貢献するための提案を積極的に行えるようになりました。

プライベートにおいても、家族との対話の質が向上しました。相手の話を丁寧に聞き、質問を通じて理解を深めようとする姿勢は、家庭内でのコミュニケーションにも有効でした。人間関係全般において、相手を尊重し、率直かつ建設的に関わることの重要性を改めて実感しています。

コーチングを通じて、自分自身の内面と深く向き合う時間を持てたことは、何物にも代えがたい経験でした。自分自身の価値観や強み、そして成長の可能性を再認識することができ、より前向きに、主体的に人生を歩んでいく力が得られたと感じています。

これからコーチングを受ける人へのメッセージ

もしあなたが、現在の状況に何らかの課題を感じており、自分自身の力だけでは乗り越えるのが難しいと感じているのであれば、コーチングは非常に有効な選択肢となり得ます。ただし、コーチングは魔法ではありません。コーチが何かを「与えてくれる」のではなく、コーチとの対話を通じて「自分自身の中から答えを見つけ出す」プロセスです。

そのためには、自分自身の課題や目標に対して真摯に向き合い、コーチとのセッションに積極的に取り組む姿勢が不可欠です。また、コーチとの相性も重要ですので、フィーリングが合うコーチを見つけることも大切だと思います。

一歩踏み出すことには勇気が必要ですが、その一歩が、あなた自身とあなたの周りの世界に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。ぜひ、自身の可能性を信じて、コーチングを体験してみてはいかがでしょうか。