専門知識を「伝わる言葉」に変え、周囲を動かす力を得たコーチング体験談
自身の知見を「伝える」ことの難しさ
私は長年、特定の技術分野の研究開発に携わってまいりました。深い専門知識を蓄積し、新たな技術を創出することには強いやりがいを感じておりましたが、自身の知見やアイデアを他者に効果的に「伝える」ことに、常に課題を感じておりました。
特に、非専門家に対して研究の意義や成果を分かりやすく説明すること、会議の場で自分の意見を論理的に展開し、合意形成を図ること、そして発表の場で聴衆を惹きつけ、共感を得ることに苦手意識があったのです。頭の中には明確なビジョンやデータがあるにも関わらず、言葉にするとその熱意や重要性が伝わらない。結果として、私のアイデアが十分に理解されず、プロジェクト推進が滞ったり、貢献の機会を逃したりすることが少なからずありました。
この状況は、私の内面に閉塞感を生み、自身の専門性が組織や社会に十分に活かされていないのではないかという不安を募らせました。
コーチングとの出会い、そして期待
ちょうどその頃、私は新しい重要なプロジェクトのリーダーを任されることになりました。このプロジェクトを成功させるためには、異なるバックグラウンドを持つ関係者、上層部、さらには社外のパートナーを巻き込み、協力を得る必要がありました。これまでの私のコミュニケーションスタイルでは、この大きな壁を乗り越えられないだろうと痛感しました。
自身のコミュニケーション能力、特に「伝える力」を根本的に改善する必要があると強く感じたのが、コーチングを受けようと思った直接的なきっかけです。書籍や研修も検討しましたが、それらは多くの場合、一般的なスキル習得に焦点を当てています。私が求めていたのは、私の固有の課題、つまり専門知識をどう伝え、どうすれば周囲を動かせるようになるのかという、よりパーソナルで深い問いへの向き合いでした。個別の状況に応じたサポートを受けられるコーチングが、自身の課題解決に最も適していると考えました。
コーチングを受けるにあたり、私が期待していたのは、まず「伝わる話し方」の具体的な方法論を学ぶことでした。そして何よりも、自信を持って自分の考えを発信できるようになること、それを通じて周囲を巻き込み、自身の専門性を最大限に活かせるようになることでした。
セッションを通じた内面の探求と気づき
コーチとのセッションは、驚くほど私の内面に深く光を当てるものでした。形式的なスキルの話に入る前に、コーチはまず「なぜ、そのアイデアを伝えたいのですか?」「そのアイデアを通じて、何が実現されると嬉しいのですか?」といった、私の「伝えたい」という気持ちの源泉に関する問いを投げかけました。
最初は、単に「義務だから」「必要だから」といった表面的な理由しか出てこなかったのですが、対話を重ねるうちに、そのアイデアに対する私自身の情熱、社会に貢献したいという強い思いが明らかになってきました。私はこれまで、客観性や論理性ばかりを重視し、自身の感情や熱意を表に出すことを抑え込んでいたようです。それが、結果として「伝わらない」コミュニケーションに繋がっていた一つの要因であることに気づきました。
また、コーチは「あなたの話を聴く人は、どんなことに興味を持つでしょうか?」「彼らが理解するために、何が必要だと思いますか?」といった、相手の視点に立った問いも多く投げかけました。私はこれまですべてを「自分が言いたいこと」の視点から考えていましたが、コーチとの対話を通じて、相手の知識レベル、関心、懸念事項などを事前に想像し、それに合わせて伝え方を調整することの重要性を痛感しました。
セッション中、特に印象的だったのは、具体的なプレゼンテーションの場面を想定し、「もし聴衆が専門外の人ばかりだとしたら、どう伝えますか?」といった問いに対し、私が言葉に詰まったり、抽象的な表現になったりした際に、コーチが根気強く「例えば?」「それは具体的にどういうことでしょう?」と掘り下げてくれたことです。このプロセスを通じて、自身の思考の癖や、言葉の選び方における課題が明確になりました。
得られた成果と変化
コーチングを通じて得られた最大の成果は、単なる話し方のスキルアップではなく、私の「伝える」ことに対する根本的な意識の変化でした。
まず、発表や会議の前には、誰に何を伝えたいのか、相手は何を知りたいのかを具体的に考える習慣が身につきました。専門用語を避け、比喩や具体的な事例を用いて説明する練習も行い、以前よりも分かりやすい資料を作成できるようになりました。
そして何よりも、自身の内なる情熱を表現することへの抵抗感が薄れました。論理だけでなく、なぜ自分がその研究に打ち込んでいるのか、そのアイデアがどんな未来を創り出すのかを、自分の言葉で語れるようになったのです。これは、コーチが私の情熱を言語化する手助けをしてくれたこと、そしてそれを表現することの価値を認めてくれたことによると感じています。
これらの変化は、具体的な結果に繋がりました。重要なプロジェクトに関する社内発表では、以前よりも聴衆の反応が格段に良くなり、多くの協力や支持を得ることができました。異なる部門のメンバーとの会議でも、私の発言がプロジェクト推進の重要な要素として受け入れられることが増えました。
コーチング体験がもたらした未来への影響
コーチングを受けた経験は、私のキャリア全体に肯定的な影響を与えています。以前は自分の専門性だけを磨けば良いと考えていましたが、今では自身の知見をどれだけ効果的に伝えられるかが、プロフェッショナルとしての影響力や貢献度を大きく左右すると実感しています。
「伝える力」が向上したことで、新しいプロジェクトへの参加機会が増え、より幅広い役割を担う自信がつきました。また、自身のアイデアが理解され、共感を呼ぶ経験は、仕事へのモチベーションをさらに高めてくれています。社内外のネットワークも広がり、以前は想像もできなかったような共同研究や新しい取り組みの可能性が見えてきました。
これからも、自身の専門性を深めつつ、「伝わる言葉」で社会に貢献していくことを目指したいと考えています。コーチングは、そのための強力な支えとなりました。
これからコーチングを受ける人へのメッセージ
もしあなたが、私のように専門知識や素晴らしいアイデアを持っているにも関わらず、それをうまく伝えきれていないと感じていたり、コミュニケーションに苦手意識を持っていたりするならば、ぜひ一度コーチングを検討してみていただきたいと思います。
コーチングは、表面的な話し方のテクニックを学ぶだけでなく、なぜ伝えることが難しいのかという根本的な原因に光を当て、内面から変化を促します。あなたの隠された情熱や信念を引き出し、それを自信を持って表現できるようサポートしてくれるでしょう。
自身の専門性を最大限に活かし、周囲を動かす力を得るために、コーチングは非常に有効な手段となり得ます。一歩踏み出すことで、きっと新しい可能性が開かれるはずです。