「自身の価値観と組織文化のギャップ」に悩み、貢献への道筋を見失っていた私が、納得感のある関わり方を見出したコーチング体験談
コーチングを受ける前の状況と悩み
長年、ある専門分野でキャリアを積んでまいりました。蓄積された知識や経験を活かし、所属する組織に貢献したいという思いは常に強く持っておりました。しかし、近年、組織全体の方向性や、日々の業務を進める上でのやり方、メンバー間のコミュニケーションのあり方といった組織文化と、自身の内にある価値観との間に、漠然とした違和感や摩擦を感じることが増えていました。
具体的には、私が大切にしている「長期的な視点での質へのこだわり」や「透明性の高い意思決定プロセス」といった点が、組織の「短期的な成果重視」や「既存の枠組みからの逸脱を避ける傾向」といった文化とぶつかるように感じていました。自身の提案やアイデアが、その価値観のギャップゆえに、なかなか十分に理解されなかったり、実行に移されなかったりすることも少なくありませんでした。
組織への貢献意欲はあるにもかかわらず、自身の価値観を押し殺して合わせるべきなのか、あるいは違う道を模索すべきなのか、といった内面の葛藤が深まり、次第に仕事に対する閉塞感やフラストレーションを感じるようになっていました。何のために働いているのか、自身の専門性をどう活かせば良いのか、貢献への道筋が見えなくなり、意欲が低下していくのを感じていました。
コーチングを受けるきっかけ
このような状況を一人で抱え込み、出口が見えないトンネルの中にいるような感覚でした。信頼できる同僚や友人に相談することもありましたが、表面的な慰めに留まるか、あるいは特定の解決策を提案されても、私の内面の複雑な葛藤には十分に寄り合ってもらえないと感じていました。
自身の思考が堂々巡りになり、客観的な視点や、自身の内面を深く掘り下げるためのガイド役が必要だと強く感じるようになりました。以前からコーチングという手法に興味があり、自身の内面を整理し、現状を多角的に捉えることで、この閉塞感を打破できるのではないかという期待を抱きました。何人かのコーチについて調べたり、体験セッションを受けたりする中で、私の話にじっくりと耳を傾け、安易な解決策ではなく、私自身の中から答えを引き出そうとしてくれるコーチに出会えたことが、本格的にコーチングを受ける決定打となりました。
コーチングへの期待
コーチングを受けるにあたって、最も期待していたのは、自身の悩みや葛藤の根本原因を明確に理解することでした。なぜ組織文化に対してこれほど違和感を感じるのか、そして、その違和感が自身の仕事へのモチベーションにどう影響しているのかを知りたいと思っていました。
また、自身の内にある核となる価値観を言語化し、それを大切にしながら、所属組織という環境の中でどのように自身の専門性や経験を活かし、貢献していけるのか、具体的な道筋を見出したいと強く願っていました。単に状況を乗り越えるだけでなく、この経験を通じて自己理解を深め、今後のキャリアや人生における指針を得たいという期待もありました。
コーチングのプロセスと具体的な様子
セッションは、概ね週に一度、オンラインで行われました。最初の数回は、私が抱えている漠然とした不満や、組織との関係性における具体的なエピソードを自由に話すことから始まりました。コーチは私の話を丁寧に、時には頷きながら、そして時には静かにメモを取りながら聴いてくださいました。その穏やかな雰囲気の中で、私は普段は言葉にするのが難しかった内なる感情や思考を、安心して表出することができました。
特に印象に残っているのは、コーチからの問いかけでした。例えば、「〇〇さんにとって、仕事をする上で最も譲れないことは何ですか」「組織の△△という文化に対して、あなたが違和感を覚えるのは、それはあなたのどのような価値観に触れるからでしょうか」「もし、組織の文化があなたの理想とするものであったとしたら、あなたはそこでどのように貢献していると思いますか、具体的に教えていただけますか」といった問いでした。
これらの問いかけは、単に問題の解決策を探るものではなく、私自身の内面、特に自身の核となる価値観や、仕事に対する根源的な思いに光を当てるものでした。最初は答えに窮することもありましたが、コーチの粘り強い、そして温かい問いかけによって、それまで無意識のうちに抱いていた自身の価値観が、少しずつ輪郭を帯びていくのを感じました。
また、コーチは私に、組織の文化や慣習についても、表面的な不満として捉えるだけでなく、その背景にある歴史や、そこに関わる人々の意図について想像を巡らせるよう促してくださいました。これにより、一方的に組織を「壁」と捉えていた私の視点が広がり、「違い」として認識できるようになりました。では、その「違い」の中で、どうすれば自分らしい形で関わっていけるのだろうか、という思考へと自然に導かれていきました。
セッションを重ねる中で、私は自身の感情の動きにも気づきやすくなりました。特定の状況で感じるフラストレーションや失望は、私の内にある大切な価値観が満たされていないことのサインであると理解できたのです。感情を否定するのではなく、それを手掛かりに自身の内面を探求する、という新しい習慣が身につきました。
得られた成果と変化
コーチングを通じて得られた最も大きな成果は、自身の核となる価値観を明確に認識できたことです。これにより、これまで感じていた組織文化との間の違和感が、単なる不満ではなく、自身の価値観と現実との間のギャップであると腑に落ちました。この理解は、自己肯定感を高める上で非常に重要でした。自分の感じ方や考え方が間違っているのではなく、大切にしているものが組織の主流とは異なるだけなのだと認められたからです。
この気づきを基に、私は組織との関わり方において、以前のような感情的な反発や諦めではなく、より建設的・戦略的なアプローチを取れるようになりました。自身の価値観を大切にしながらも、どのように組織全体の目標と摺り合わせ、貢献できるのかを冷静に考えられるようになったのです。
具体的な行動としては、自身の提案をする際に、単に理想を語るのではなく、組織の現在の状況や優先事項を踏まえ、相手が受け入れやすい言葉や形式で伝える工夫をするようになりました。また、価値観の異なる同僚との対話においても、一方的に批判するのではなく、お互いの立場や背景にある考えを理解しようと努めるようになりました。
これらの変化により、組織に貢献できないという閉塞感は薄れ、自身の内なる声に耳を傾けながら、どのように組織に関わっていくか、その道筋を自分自身で描き始められるようになりました。仕事へのモチベーションも回復し、以前よりも前向きな気持ちで日々の業務に取り組めています。
コーチング体験後の影響
コーチング体験は、私の仕事だけでなく、人生全体にも大きな影響を与えています。自身の価値観が明確になったことで、仕事の選択だけでなく、私生活における様々な意思決定においても、自分が何を大切にしたいのかを軸に判断できるようになりました。
また、他者との関係性においても、価値観の違いを恐れるのではなく、多様性として尊重し、そこから学びを得る姿勢が持てるようになりました。これは、家族や友人との関係性においても、より深い相互理解と円やかなコミュニケーションに繋がっていると感じています。
以前は、自身の専門性を活かして組織に貢献することに固執していましたが、今は、自身の核となる価値観を満たせる環境であれば、貢献の形は組織内に限らないのかもしれない、といった柔軟な思考もできるようになりました。将来のキャリアについても、より広い視野を持って考えられるようになっています。
これからコーチングを受ける人へのメッセージ
もしあなたが、現在の状況に対して漠然とした違和感や閉塞感を感じているものの、それが一体何なのか明確に言語化できないでいるとしたら、コーチングは非常に有効な手段となり得ると強くお伝えしたいです。
コーチングは、あなたの中に既に存在する答えや可能性を、コーチとの対話を通じて引き出すプロセスです。コーチはあなたに答えを与えるのではなく、あなたが自分自身で答えを見つけられるよう、安全な空間を提供し、適切な問いを投げかけてくれます。
一人で悩み続け、堂々巡りになるよりも、一度コーチングを受けてみることで、自身の内面がクリアになり、予想もしなかった新しい視点や可能性に気づくことができるかもしれません。最初の一歩を踏み出すことは勇気がいるかもしれませんが、その一歩が、あなたの未来を大きく変える可能性を秘めていると信じています。コーチとの信頼関係を大切に、あなたの内なる声に耳を傾ける旅に出かけてみてください。