「やるべきこと」に追われ、仕事への情熱を見失いかけていた私が活力を取り戻したコーチング体験談
コーチングを受ける前の状況と悩み
私は現在、IT企業の管理職として働いています。入社以来、技術部門でキャリアを積み、プロジェクトマネージャーとして一定の成果を上げてきました。昇進し、チームを率いる立場になってからは、日々の業務は多岐にわたり、「やるべきこと」が山積する毎日です。会議、書類作成、メンバーのマネジメント、部門間の調整...どれも重要なタスクであり、責任を持って遂行しています。
しかし、ふとした瞬間に「何のためにこんなに忙しくしているのだろうか」と感じることが増えてきました。以前は仕事そのものに情熱を感じ、新しい技術を学ぶことや課題解決に純粋な喜びを見出せていたのですが、最近はそれが薄れてきているように感じていました。目の前のタスクをこなすことに精一杯で、かつて抱いていた仕事へのワクワク感や、自分が本当に興味を持っていること、やりたいことが何だったのかさえ、思い出せなくなっていたのです。
心身ともに疲弊しているわけではないのですが、内側から湧き上がるようなエネルギーが不足している感覚がありました。漠然とした閉塞感があり、このまま漫然とキャリアを続けていくことに不安を感じ始めていたのです。誰かに相談しようにも、こうした内面的な、明確な形のない悩みをどのように伝えて良いのか分かりませんでした。
コーチングを受けるきっかけ
この漠然とした不安や閉塞感を、自分一人で解消するのは難しいと感じていました。書店でキャリア関連の書籍を読んだり、自己啓発系の記事を読んだりもしましたが、一時的な刺激にはなっても、根本的な解決には至りませんでした。自分の内面を深く掘り下げ、思考を整理するための、客観的で専門的なサポートが必要だと考えるようになったのです。
そこで、友人からコーチングという選択肢があることを教えてもらいました。当初は漠然としたイメージしかありませんでしたが、「対話を通じて自己理解を深め、目標達成に向けた行動を促進する」という説明に興味を持ちました。特に、表面的な解決策ではなく、自分の内側にあるものに焦点を当てるという点に惹かれ、コーチングを受けることを決めました。
コーチングへの期待
コーチングを受けるにあたり、私が期待していたのは以下の点です。
- 自分が仕事に対して感じている閉塞感や情熱の喪失感が、一体何に起因しているのかを明確にしたい。
- 「やるべきこと」に追われる日々の中で見失ってしまった、自分が本当に価値を置いていることや、情熱を傾けられることを見つけたい。
- それらを踏まえ、今後のキャリアや日々の過ごし方について、具体的な方向性を見出したい。
魔法のように悩みが消えるとは考えていませんでしたが、自分一人ではたどり着けない深掘りや気づきが得られるのではないかと期待していました。
コーチングのプロセスと具体的な様子
私のコーチングセッションは、オンライン形式で週に一度、約60分間行われました。最初のセッションでは、私の現状、悩み、そしてコーチングに期待することなどを丁寧に聞いていただきました。漠然とした感情や思考を言葉にするのは簡単ではなかったのですが、コーチは焦らせることなく、じっくりと耳を傾けてくれました。
特に印象に残っているのは、コーチが投げかけてくれた「あなたが、時間を忘れて没頭できたのはどんな時でしたか?」という問いでした。それまで「やるべきこと」にばかり意識が向いていましたが、この問いによって、幼い頃に夢中になったこと、学生時代に熱中したこと、社会人になってからも「仕事だから」ではなく「面白いから」取り組んでいたことなどが、次々と頭に浮かんできました。それらは現在の私の仕事とは直接関係ないように思えることもありましたが、コーチはそれらを否定せず、「その時、どんな気持ちになりましたか?」「何に惹かれていたのでしょうか?」と、さらに深く掘り下げてくれました。
セッションを重ねるにつれて、私は自分が過去にどのようなことに喜びや楽しさを感じていたのか、そして現在「やるべきこと」としてこなしている業務のどこに抵抗を感じているのかを、具体的に言葉にできるようになっていきました。コーチは、私の言葉の中に隠されている感情や価値観を丁寧に拾い上げ、それを私自身に問い返すような形でフィードバックしてくれました。
「〇〇さんにとって、仕事において最も大切にしたいことは何ですか?」「もし、経済的な安定が完全に保証されていたら、今と同じ仕事を続けますか?それとも、別の何かを始めますか?」「『やるべきこと』をこなしている時のエネルギーと、『これがやりたい!』と感じる時のエネルギーの違いは何でしょうか?」
こうした問いかけは、私にとって自身の内面を探求する旅のようなものでした。最初は戸惑いもありましたが、コーチの穏やかで安心感のある雰囲気の中で、素直な感情や本音を表現することができました。セッションを通じて、私は自分が思っていた以上に「安定」よりも「探求」や「創造」に価値を置いていること、そして、これまでのキャリアの中で培ってきたスキルが、必ずしも現在の「やりたいこと」に直結しているわけではないことに気づき始めました。
得られた成果と変化
コーチングを通じて得られた最大の成果は、自分自身の内にある声、つまり「本当にやりたいこと」や「大切にしたい価値観」が明確になったことです。以前は「やるべきこと」に忙殺され、自分の内なる声に耳を傾ける余裕もありませんでしたが、セッションを重ねる中で、その声が少しずつ聞こえるようになりました。
具体的な変化としては、以下の点が挙げられます。
- 思考の変化: 「やるべきこと」をただこなすのではなく、「これは何のためにやるのだろうか」「ここに自分のどのような価値観を乗せられるだろうか」と考えるようになりました。すべての業務に情熱を見出すのは難しくても、その意味合いを再定義することで、主体的に取り組めるようになりました。
- 行動の変化: 自分が本当に興味のある分野(私の場合は、以前から関心のあった教育分野)について、情報収集を始めたり、関連するオンラインセミナーに参加したりと、具体的な行動を起こせるようになりました。仕事以外の時間で「やりたいこと」のための時間を意図的に確保するようになり、日々の生活にメリハリと活力が生まれました。
- 感情の変化: 以前感じていた漠然とした閉塞感が薄れ、将来に対する期待感やポジティブな感情が増えました。自分の選択に対する納得感が生まれ、穏やかな自信を感じられるようになりました。エネルギーレベルが向上したのを感じます。
コーチング体験後の影響
コーチングを受けた経験は、その後の私の仕事や人生に大きな影響を与えています。仕事においては、以前よりも積極的に自分の意見を発信し、チームや部門全体の方向性に対して提案を行うようになりました。「やるべきこと」の中に「やりたいこと」を見つけ出す視点ができたことで、業務に対するエンゲージメントが高まりました。また、部下との対話においても、表面的な指示だけでなく、彼らが仕事にどのような価値を見出しているのか、どのような点に情熱を感じるのかといった内面的な側面に目を向けられるようになりました。
プライベートにおいては、自分の時間の大切さを再認識し、趣味や自己投資に時間を使うことにためらいがなくなりました。ワークライフバランスを意識的に調整できるようになり、心身の充実を感じています。将来に対する漠然とした不安はなくなっていませんが、それに対してどのように向き合い、どのような選択をしていくかは自分自身で決められる、という主体的な感覚を持つことができるようになりました。
コーチングは、問題解決の答えを教えてくれるものではありませんでした。しかし、自分自身の内面を深く掘り下げ、これまで気づいていなかった感情や思考、価値観を発見するプロセスを通して、自分自身の「羅針盤」を見つける手助けをしてくれたと感じています。
これからコーチングを受ける人へのメッセージ
もしあなたが、私のように「やるべきこと」に追われる日々の中で、何らかの閉塞感や漠然とした不安を感じていたり、自分が本当にやりたいことを見失いかけていたりするのであれば、コーチングは非常に有効な選択肢となり得ると感じています。
私自身、最初は「こんな漠然とした悩みでコーチングを受けても良いのだろうか」「何を話せば良いのだろうか」という不安がありましたが、コーチは私自身の言葉を引き出し、思考を整理する手助けをしてくれました。明確な悩みでなくても、心のざわつきや違和感を言葉にしてみることからコーチングは始まります。
一人で考え込んでも堂々巡りになってしまうような内面的な課題に対して、コーチという客観的な第三者が伴走してくれることで、自分だけでは気づけなかった視点や可能性を発見することができます。それは時に大変な作業でもありますが、その先には必ず新たな気づきや変化が待っています。
ぜひ、自身の可能性を広げるための一歩として、コーチングを検討してみてはいかがでしょうか。